一流料亭の板前さんや高級フレンチのシェフのノウハウ
どことは言えませんが、一流ホテルをはじめ料亭や百貨店などもお客さんです。
ホテルの宴会場やおせち料理の食材のほか、料亭や高級寿司店の一品を裏方として納品させてもらってるんです。
懐石料理用の食材を「調理済み」で提供することもあります。
一流料亭の板前さんや高級フレンチのシェフのノウハウをもとに作られた食材を、仲買いして全国のお店にお届けすることもあります。
和食、洋食、中華、オードブルからデザートにいたるまで、あらゆる食材、おいしいものを「陰で支えさせて」もらってるんです。
自分らはあくまで黒子、おもしろいですよ。
できあいの食材を右から左に回すだけではありません。
たとえば蕎麦屋さんで出すマグロのやまかけ丼。
本来はお店でやまいもをすりおろすのが理想かもしれませんが、毎日大勢のお客さんに提供するには、ひとりふたりの店員の手だけでは間に合いません。
そんなとき、安心安全で本当においしいやまいものすりおろしたものが安定的に手に入れば、助かる蕎麦屋さんというのも結構あります。
そんなところに、やまいもをすりおろしたものを冷凍してお届けしています。
また、夏になると関西ではハモが季節を楽しむ料理の定番になっています。ところが、関東ではハモを提供する料理屋さんはほとんどありません。関西と関東では、食文化が違うんですね。
そこで「ハモを天ぷらにして食べる」という提案をさせてもらいました。何をしたかと言うと、生きのいいハモに衣をまぶして、あとは揚げればいいだけの状態にしたものを関東のお客さんに納品したんですね。
それが当たりました。
「おいしい!」と評判を呼んで、今では、取引先もどんどん増えるようになってきました。
食の世界を彩る
珍味業界は、もともと塩乾物などの珍味からスタートしてますが、今は料亭に納品する加工食材を中心に、かなりのごちそうが冷凍状態で商品化されるようになりました。
懐石料理、仕出し料理といった和食はもちろん、テリーヌなどのオードブルや中華料理まで幅広い品ぞろえで、最近はホテル関係との取引も広がっています。
20年前には考えられなかったことですが、百貨店や有名ホテルで販売される人気のおせち料理の食材も、さまざまにご提供させていただいています。
一流の料理人のノウハウをもとに食材が作られますので、それはそれはおいしいものを多くの人にお届けできる時代になりました。
長いこと珍味業界に携わってきた自分としては、とてもうれしく、これからも珍味の世界を広げていきたいと思っています。
【完】