市場の人々

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珍味というとどんな食品をイメージしますか?

スルメ、ピーナッツ、ドライフルーツ類・・・、それにスーパーの店頭に、所狭しと並ぶお酒のおつまみなどを連想されると思います。
でも、市場の珍味屋は違います。

天一フーズ

たとえば「つぶウニ」や「このわた」。こう言うと、「ははーん、市場では小料理屋や割烹なんかで出てくる高級な酒肴を扱うんだ」と、思われましたか。
いえいえ、そんなもんじゃないんです。

デパートやホテルで出されるテリーヌやローストビーフなどのオードブル。数の子や黒豆など高級料亭のおせち料理の食材。ケーキ、ミルフィーユにお饅頭、羊羹といった和洋スイーツ。まだまだあります。
居酒屋で出されるマグロのやまかけ丼用にすりおろしたヤマイモ。衣をまぶしてあとは揚げるだけの状態にしたハモ。

そうなんです。加工食品からプロの料理人の手間を省く下ごしらえ済みの食材まで。
珍味屋が扱う食材はなんと1,000種類以上。
お店でも家庭でも、なに気なく口にする食べ物の多くは珍味屋が提供しています。まさに、食の世界を華麗に彩る「縁の下の力持ち」が、市場の珍味屋です。

「うなぎ」の匂いが身体に、しみついた!

私は生まれも育ちも北海道です。なにせ道産子ですから、ウニは生のものをそのまま食べてました。 生ウニはなんともいえない旨味、甘味があります。
今思えば、その頃から珍味とご縁があったのかも知れません。

鰻

珍味の世界に身を投じてから30年以上になります。大阪府の中央卸売市場に来るまでは、大阪・福島にある大阪市の中央卸売市場にいたこともあります。
当時お世話になった社長さんは食材を見極める目がとても厳しい人でしたので、その取り組む姿勢が今の私の原点だと思っています。

昭和53年、大阪府中央卸売市場の開場と同時に、場内唯一の珍味取り扱い仲卸として店舗をもちました。
若い頃、ある「うなぎ」屋さんに5年ほど通ったのですが、初めは気になった「うなぎ」の匂いをいつの間にか感じなくなっている自分に気がつきました。

そのことを「うなぎ」屋の大将に話すと、「それだけ毎日通ってくれた証しや。ありがとう」と言われました。慣れると匂いがわからなくなるんですね。
そんな毎日を過ごしながら、だんだんと珍味の世界がおもしろくなっていきました。

珍味業界の食材は、もともとが「このわた」や「からすみ」あるいは「キャビア」などの高価な貴重品を一流の料亭やレストランに提供するという特殊な仕事なので、食べ物に興味がある者としては、ほんとに興味が尽きません。

奥が深く間口も広くて、あきないし面白いですね。

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