鱧が美味しい季節。あわじの福良漁港まで取材に行ってきました。
2014.07.04|産地情報
美味しい、鱧の季節。
兵庫県淡路島の福良漁港に行ってきました。
関東方面の方には、あまりなじみがないかもしれませんが、
西日本、とくに関西では、7月、8月といえば鱧(はも)が美味しいと、昔から季節の魚として喜ばれてきました。
鱧は九州の方でも水揚げされます。
長崎辺りでは6月頃が、最盛期となります。
「この淡路島あたりの鱧が美味しくなる7月、8月には、祇園祭、天神祭があり、
昔から、祭りの時期には特に鱧料理が喜ばれてきました。」
「梅雨時の雨とともに、天然の鱧はどんどんおいしくなる」
漁師歴30年の沖野六十二(むつじ)さん。
「プランクトンをしっかり食べ、身体に栄養分が行き渡り脂がのってるよ」
この日、この船から水揚げされた鱧の中には、3キロ以上もある「大物」が何匹もまざっていました。
漁は、「はえ縄」という漁法。釣り糸で釣り上げる手間のかかる方法。
前日の夕方5時には仕掛けをいれて仕込み、夜中の2時ごろに獲物を引き上げる。
漁師さんたちは、そのあと少し仮眠して、翌朝の9時ごろに、獲れたて鱧を船の水槽に入れて
漁港に帰ってきます。
まるで、拝むようなスタイルに見えるのは、せりの値踏みをしている「納水産(おさめすいさん)の藤原秀貴専務。
大阪府中央卸売市場に、うまい鱧を届けるために、
漁師さんから水揚げされた鱧に鋭い目を光らせながら、手際よく仕入れていく。
「魚は、プランクトンを食べて育ちます。
そのプランクトンは、陸地の山を伝って流れる川が運ぶ「栄養」を食べて育ちます。
だから、魚の恩恵を受けるぼくらも、山に木を植えることに気を向けることが大事やと思ってます。
山がよくなれば、魚が美味しいんですわ」
鱧の目利き、藤原専務はこう言われました。
「パッと見たら、いろんな鱧はその大きさだけの違いぐらいにしか見えないでしょうけれど、
実は、鱧は10種類にわけて僕は見ています。
それぞれ、魚の特徴があるのです。
そこを目利きして、鱧を買って、中央市場に出荷させてもらってます。」
「選別」する目が大事ということだそうです。
目利きをして、魚の情報をお伝えして市場にお届けする。
これが、漁港の仲買人の大事な仕事やと思っています。
それにおいしい魚を獲ってくれる漁師さん。
その漁師さんがやりがいのある元気のでる仕入れをすることも僕らの大事なしごとやと思います。」
こんなおいしい鱧が、生きたまま大阪や京都の中央市場にトラックで届けられています。
せっかくだから、藤原専務さんに地元で食べられる美味しい鱧のお店をいくつか教えてもらいました。
地元仲買人さんのおすすめスポットです。
「万代」 兵庫県南あわじ市福良甲291-5
http://tabelog.com/hyogo/A2806/A280603/28002248/
「南海荘」 兵庫県南あわじ市阿那賀1603
http://tabelog.com/hyogo/A2806/A280603/28030214/
平松食堂 兵庫県南あわじ市福良丙28-19
http://tabelog.com/hyogo/A2806/A280603/28029568/
この平松食堂は、漁港のすぐ横です。
「この漁港には、仲買人さんが6件あります。水揚げされた鱧はせりにかけられ、
一番高値を付けた仲買人さんに引き取られていきます。京阪神の中央市場のほか、
地元の民宿へも出荷されていきます。この港の水揚げは週に1回です。」
福良漁業協同組合の奥野智さん。
「地元淡路島では「鱧スキ」がうまいなあ。」
鱧のすき焼きともいえるお料理で、この脂ののった天然の鱧と
甘くて柔らかい地元特産の玉ねぎ。この二つで「すき焼き」にするそうです。
「いや、これが一番うまい食べ方です」
この漁港で鱧の水揚げを行うのは10隻(せき)。
9時過ぎには、次々と港へ漁を終えた船が返ってくる。
「こういう仕事は、兄弟でないとあかんねん」とおっしゃったある漁師のひと。
「自分で7代目。昔は漁師が魚を獲って、それを自分で売ってということもやっていた。
今は組合があるので、そこがやってくれるようになったけれど」
今は網ですくうというやり方のところも多いけれど、
ここは。今もはえ縄漁法をいうやり方で、美味しい鱧を釣り上げている。
「淡路島のすぐ南にある沼島(ぬしま)の鱧は昔から美味しいと有名やからなあ」
水槽の中の鱧を選別する藤原専務。
鱧は、鋭い歯をもっているので選別するのも「ワザ」がいる。
漁師さんたちも高齢化している。
この漁師さんたちが活躍してくれているから、美味しい鱧を
中央卸売市場に届けてもらうことができている。
この淡路島からの鱧は、大阪府中央卸売市場の中の仲卸さんの店先にも並べられます。
市場の中でも大ベテランの拓新水産の杉江芳樹さん。
鱧をいろんな料亭にも卸している。
淡路島の新鮮な鱧が、中央市場には届けられ、いろんなお店に出荷されています。
祇園祭り、天神祭と続く関西の夏。
この時期にもっとも美味しくなるといわれている鱧。
今年は、ぜひ、鱧のおいしさをご堪能ください。
50歳を過ぎたら、鱧のおいしさをぜひ、味わってください。
その理由(わけ)はこちらです。 → → → 50歳以上の人にこそ召し上がっていただきたい、ハモ